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基本的に五味(酸苦甘辛鹹)であるが

辛口
日本酒の味覚評価も、基本的に五味(酸苦甘辛鹹)であるが、料理のそれと同じ言葉を使っていても概念は大きく異なる。「辛い」といっても、料理における辛(トウガラシやコショウのような味)や鹹(塩辛さ)ではない。また、舌の表面にある味蕾(みらい)でキャッチされ脳へ送られる味覚は甘味、酸味、塩味、苦味、うま味のみであり、味細胞には辛味の受容体はないため、「酒が辛い」と感じるのは、舌表の痛覚がアルコールに刺激されているだけと考えられている。
そのため一般に、アルコール度や日本酒度が高ければそれだけ辛口に感じるため、かつて昭和時代にはやみくもにアルコール添加して三増酒が作られたりしていたが、「質の良い辛さ」ではなかった。本当の辛口は、アルコール度数だけでは造られていない。

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また、「淡麗辛口が優れた酒の基本条件である」かのような認識(参照:辛口ブーム)が蔓延していたころもあったが、これも正しい理解ではない。つまるところ「辛口には辛口の良さ、旨口には旨口の良さがある」という当たり前なことに返ってくる。また人の味覚はその日の体調によって大きく左右されるため、「この酒は甘口だ/辛口だ」というだけの品評にはあまり意味はなく(参照:日本酒度・甘辛度・アミノ酸度)、熟達した愛酒家たちはまったくといってよいほど「甘口/辛口」で酒を評価しない。
甘口
旨口(うまくち)と混同されることが多いので注意。「日本酒度が低ければ甘口」と短絡的に考えるのは正しくない。
酒粕が多く混ざっている酒、すなわち濁り酒(にごりざけ)やおりがらみのように比重が大きければ、日本酒度は低く、ときに「-15」のように大きく0(ゼロ)を下回るが、こういう中にも「辛口の濁り酒」が多く存在する事実が、比重や日本酒度と「甘い/辛い」にはさほどの関係がないことを示す例である。
甘酒(あまざけ)、女性消費者向けのデザート日本酒、諸白などで作った製成酒が甘口の例として挙げられる。
旨口(うまくち)
一般に清酒に関して「甘口」と表現されるのは、じつはこの旨口である場合がほとんど。相対的に辛味が刺激されないため「甘口」と間違えられやすいのである。旨口は、辛口の要素となりやすいキレよりも、コクと奥行きのある馥郁(ふくいく)たる味わいである。目指す仕上がりへ持っていくためには、アルコール度数の高さでごまかせないため、造り手にとってはある意味でいっそう難しい味ともいわれる。
端麗 / 淡麗(たんれい)
口に含んだときに、きれいで滑らかな感じを受けたときに用いる表現。日本語としては本来「端麗」が正しいのだが、1980年代に始まる辛口ブームの間に商標などを通じていつしか「淡麗」と書かれ始め、そういう酒の味の代表格である新潟県で奨励品種の酒米として「越淡麗」(こしたんれい)を開発するに至り、現在ではすっかり酒の味に関しては「淡麗」と書くようになった。
芳醇 / 豊醇(ほうじゅん)
香りが高く味がよいこと。これも日本語としては本来「芳醇」が正しい(日本語の辞書の中には「芳醇」がなく、「芳純」「芳潤」とするものもある)のだが、商標や酒銘などで一般化したため「豊醇」とも書くようになってきている。
濃醇(のうじゅん)
味が濃いこと。「淡麗」の対極にあるのはむしろこの濃醇である。
ピン
後味が引き締まった感じをさす。辛・甘・旨の味のバランスによって織り成される。そのバランスが酒の味のアウトラインを決めるといってもよい。
キレ
後味がすっきりして軽快な場合に「キレがある」と表現する。地方によっては「サバケがよい」と表現する。
荒い
口に含んだときに、口中に刺激を受ける状態をさす。よく言えば元気のある若々しい味、わるく言えば熟成感に欠ける味である。
吟味(ぎんあじ)
長い時間をかけて低温熟成した酒に生まれる、あっさりとした旨みをさす。
ふくらみ
口中に広がる、バランスの良いしっかりとしたコクのある味をさす。「ゴク味」「味の幅」などとも表現される。
ゴク味
酒の五味がほどよく調和して、バランスの良いコクが感じられる状態を「ゴク味がある」と表現する。
収斂味(しゅうれんみ)
酒がまだ若いときに感じられる、思わず口をすぼめたくなるような渋みのこと。たいていは酒の熟成とともに自然に消えていく。逆に、これが消えていくのを以って酒の熟成度を舌で測ることもできる。
押し味
酒を利いたあとの後味にふくらみがあり、安定して余韻を響かせているような味。
コシ
押し味があって、安定した味わい残すときにはを「コシがある」「コシが強い」といい、反対に後味がぼけた感じがするときは「コシがない」「コシが弱い」という。
どっしり
ふくらみとコシのある、容易に燗くずれのしない、丹念な造りの味に用いられる表現。
しっかり
安定感とコシのある、容易に燗くずれのしない、丹念な造りの味に用いられる表現。ある意味では「どっしり」よりも頻繁に使われる「しっかり」だが、しっかりかどうかを判断するのは初心者には難しいのもまた現実である。初心者にもわかりやすい手軽な判断方法としては、酒をアルコール14度くらいにまで水で割ってぬる燗にして味わってみることである。そのときに味切れが良い酒は「しっかり」した造りである。酒中に未分解の成分が多かったり、醪末期に急激に酵母が死滅してしまうと、酵母からよけいなアミノ酸が出ることによって、味切れが悪くなることがある。こういう酒は概して完全醗酵させた酒に比べて劣化が早く、味も「しっかりしている」とは言わない。こういうことは個々人の主観、すなわち味覚で判断するのが一番で、裏ラベルに表示されているアミノ酸度など見てもわかることではない。
(味/香りが)開く
冷やでは、その酒質が本来持つ味や香りが冷たさの奥に閉じ込められてしまい、官能として感じられないことがあるが、それらを人肌燗・ぬる燗あたりまで温めると、花がゆっくり開くようにそれらが感じられてくる。そのような時に用いる表現である。しかしあまり熱すると、かえって感じられなくなる。

ちなみに日本酒匠研究会では、「甘い/辛い」「淡麗/濃醇」を座標軸とする味の分類には実用性がないとして、飲用温度や料理、器を連想しやすい「香りが高い/低い」「味が濃い/淡い」を新たな座標軸とし、次のような四分法を用いている。

熟酒(じゅくしゅ)
香りが高く、味が濃い酒。時間をかけて熟成された濃厚な味わい。熟成酒、古酒、秘蔵酒など。
醇酒(じゅんしゅ)
香りが低く、味が濃い酒。いわゆるコクが感じられる味わい。純米酒、生酛系(きもとけい)など。
薫酒(くんしゅ)
香りが高く、味が淡い酒。吟醸香の在り方が鑑賞できるもの。大吟醸など。
爽酒(そうしゅ)
香りが低く、味が淡い酒。軽快でなめらかなもの。生酒、生貯蔵酒、低アルコール酒など。

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2009年06月13日 12:49に投稿されたエントリーのページです。

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